脳を活性化すると評判の「音読」。小学生の宿題というイメージが強いですが、ストレス解消や顔回りの筋肉を鍛えるなど、大人にも効果的なんです。
特に絵本は★読み時間がちょうど良い★ハッピーなお話が多い★絵をガイドに読み方を工夫できる、、など、音読初心者さんにおすすめ。 読み聞かせボランティア歴16年、絵本専門士ふじむらゆきこが4月から全12回で音読を楽しめる絵本をご紹介します。
今月の1冊~
読み時間7分30秒
新しい季節を開く色彩豊かな絵と友情の絵本
「ねことことり」
暖冬暖冬といわれながら急に冷え込んだりして、花の季節が待たれる岩手の4月。
春をちょっと先取りする花々と猫の瞳が印象的な表紙にひかれて選んだ絵本は、「日本絵本賞」や「親子で読んでほしい絵本大賞」にも選ばれた評価の高い1冊です。
主人公は赤い屋根の家で一人暮らす猫。こぶしの木の枝を束ねる仕事に明け暮れている猫のもとに、青い小鳥がやってきてある「お願い」をするとことから物語が動き出します。
毛並みや葉脈など細かな部分まで丁寧に描かれた美しい絵と、猫と小鳥がお互いの相手を思う気持ちに心がふわっと軽くなる絵本は、優しい声で読みたいですね。ポイントは「笑顔」で読むこと。
笑顔で、と言われると口角をあげることに必死になる方がいますが、唇よりも頬に意識を向けて。口角からこめかみにつながる大頬骨筋(だいきょうこつきん)を動かすようにほっぺたを持ち上げると明るく優しい声が出ますのでお試しください。
<音読のあとは>
もう一度絵をじっくり眺めて世界を広げられるのもこの絵本の魅力。
室内の様子から猫の性格や日常の暮らしぶりを想像したり、鳥の名前や庭に咲き乱れる草花の種類は何か調べたり。カギとなる「こぶし」も調べてみると異名や香りなどがわかり、興味深いですよ!
『ねことことり』
たてのひろし 作
なかの真美 絵
2022年 / 世界文化社