リモートでの活動も多くの方が慣れてきた頃でしょうか?
Woman Gardenでも、取材を一部リモートやメールで行わせて頂いております。
本当は直に会って、近くでその方の雰囲気を感じたいところではありますが・・・
今回はメール取材で、いわての輝くキラキラウーマンさんにインタビューをしました。
今回ご紹介するのは、盛岡市の「社会保険労務士法人ワイズコンサルタンツ/株式会社ワイズコンサルタンツ専務取締役 山本明子さん(46)」です。
実はわたくし伊藤がワイズコンサルタンツ様のお客様向け冊子のインタビューを受けさせて頂いたのがご縁で、社長の奥様である明子さんに今度は逆取材をさせていただきました。
明子さんの普段のお仕事や、今のお仕事に就いたきっかけなどをお伺いしました。
女性経営者の方必見!!!ですよ!
【お仕事はどんなことをされていますか?】
県内200社ほどの顧問先様に対し、給与計算・労働保険と社会保険の手続・就業規則の整備・助成金の申請・労働相談等を行っています。助成金に強い事務所と言っていただくことが多いのですが、実際に創業以来累計10億円超の助成金を申請して顧問先様に受給していただいています。
こんな感じで仕事内容をご説明すると、漢字だらけの固い仕事・・と思われるかもしれませんが、全て扱っているのは人間です。経営者や労働者の方々のリアルな日常を想像しながらの作業は、けっこう熱くてエモーショナルな仕事だと思っています。書類の上ではTVドラマにしてもいいような内容が繰り広げられていたり。枠でいったら月9というより、ちょっと大人の木曜10時かも?顧問先ごとに業種や社風、経営者の考え方も違い、13年ほどこの仕事をしていますが全然飽きません。そんな事務所の中で、私は提出書類チェックと電子申請、そしてIT等の職場環境整備を担当しています。
スタッフは社会保険労務士で所長である主人の他に女性14男性1、全部で16名です。働き方改革やITの推進にも取り組んでいて、2019年いわて働き方改革AWARD職場環境改善部門個別プロジェクト賞を受賞し、ICTを取り入れた働き方改革として事例発表をさせていただいております。
【現在のお仕事を始めたきっかけを教えてください】
創業は2008年です。当時主人は都内の社会福祉法人に勤務していましたが、長男を里帰り出産している私にもとに、岩手の社会保険労務士事務所の求人の話がありました。ちょうど主人が企業内社労士を続けるか東京で開業するか迷っていたところで、いい機会だから岩手での開業にチャレンジしてみようと生活の本拠を岩手に移すことにしました。その事務所で3年ほど修業させていただき、2008年に私の実家のプレハブ小屋に夫婦2人で開業したのが今の事務所の始まりです。
2010年に現在の場所に事務所を移転し、2019年に社会保険労務士法人へ組織変更しました。当初は私が税理士資格を持っていたことから社労士/税理士事務所にしようと考えていましたが、社労士事務所が意外に急成長したので、私は独立せず社労士の夫をバックオフィスから支えることが全体最適ではないかと考えるようになり、現在に至ります。
【これまで苦労をなさった事、また嬉しかった事は何ですか?】
私は総務経理庶務なんでも雑用係として、職員の働く環境を整えることが自分の使命だと思っているので、一番苦しいことも嬉しいことも職員との関係の中にあります。苦労というか日常というかは別として、見ず知らずの人を集めてこちらの考える方向を向いて働いてもらうというのは、本当に気疲れします。経営者と労働者という利益が相反する関係にあって全体の利益を考えて方向性を決めていかなければならないため、社員とは意識して距離を取らなければならず、絶対に「友達」にはなれません。いつも周りの人に擦り寄って仲良くしたい典型的犬タイプの私は、そんなことに気付くまでにずいぶん傷つきもしましたし時間もかかりましたが、それが結果的にお互いのためになることを何年もかけてやっと理解できました。今でも常に気を引き締めていないと、つい擦り寄りそうになってしまいますが・・。人をまとめる立場にあると、良かれと思った言動に対して思いもよらない反応が返ってきたり、ドライな要望を突き付けられたりすることも度々あります。
そんな辛かった時にたまたま「嫌われる勇気」という本を読んで、そこにあった「他者貢献という導きの星さえ見失わなければ、迷うことはない」という言葉に救われました。人それぞれ立場や考え方があるので必ずしも相手に気持ちが通じるとは限りませんが、心から相手のためを思って下した決断であれば、少なくとも自分を恥じることなく顔を上げていられますから。そして、ヤラシイ話ですが、労使の問題は顧問先様の問題解決をするための材料に直結します。社員を雇用していなければ、同じ目線で実感を伴ってご相談に乗ることはできません。そういう面では人にまつわるゴタゴタにはメリットもあり、今では何かコトが起こると「事例キタ━━━!」と思うほどふてぶてしくなりました(笑)。
反対に、嬉しいのは職員の成長を感じたときです。私たち団塊ジュニア世代はとにかく人数が多くて就職も大変でした。「アナタの代わりはいくらでもいるから」という空気の中、パワハラまがいのことも普通にされてきました。私はそんな職場環境の中で、「人は萎縮すると本来の能力を発揮できない」と強く思っていて、自分たちの事務所では厳しい叱責や人格否定は絶対にしないと心に決めていました。萎縮せずにのびのびと働くことで、自分の本来の能力を100%発揮し他の職員のいいところを5%を吸収したとして、(職員15人なので)1.05の15乗でなんと2倍以上にも成長してしまいます。
うちの事務所では自分が工夫していることを発表する制度や調べたり問い合わせたりした結果を共有するアプリを作成していますが、その効果もあってか、彼女たちのもともとの性格のせいか、知識を共有し教え合おうという風土があり、みんな入社してから2倍くらい余裕で成長しているなと実感しています。1年間で2倍に成長したら10年後は2の10乗で・・・なんて都合のいい妄想をすると楽しいです。私は職員の後ろを歩くとき頭をナデコナデコしたくなるほど可愛いので、職員の成長を感じると事務所をやってきてよかったなーと本当に嬉しくなります。ちょっと気持ち悪いかもしれないので職員には言っていませんが。
【これからの時代を生きるうえで、大事だと思う事や頑張る女性にアドバイスをお願いします】
これからの時代はAIがヒトの仕事を奪うと言われています。実際に当事務所でも顧問先の社員さんのスマホから個人情報を入力していただき、明細もweb配信、受付のロボット導入など、IT活用をシビアに考えていて、そうした面ではヒトを必要とする仕事は減っていくかもしれません。でもお客様が必要としているのは、気持ちに寄り添い、問題を解決してくれるヒトだと思います。この仕事に限らずどんな仕事でも、職場の雰囲気やスタッフの人間性がひとつひとつの仕事に体温やグッドバイブレーションを与え、それが顧問先に伝わっていくと信じています。DXを進めるうえでも、一番大事なのは顧客のイヤなことをoffし、うれしいことをonしようとする感性です。職員が効率的に気持ちよく働ける職場を整えることで、彼女たちが持つ共感性や対応の温かさを大事にしていきたいと思っています。
もう一つ現実的なメッセージとして、会社の制度を変えたり高いモノを買ったりするときは、まず該当する助成金がないか調べるクセをつけていただきたいです。時代の流れに合った企業行動には助成金が用意されていることが多く、知らないで損するのはもったいないです。くれぐれも、変えたり買ったりする「前に」ですよ!後からでは適用されない助成金が多いので。
【岩手の頑張る女性へメッセージをお願いします】
今回、キラキラウーマンというお話をいただきましたが、私本人は生まれてこのかた全然モテないしキラキラでもなくて、むしろ「キラキラさせウーマン」だと思っています。自分の力で自分を輝かせる太陽のような女性はもちろん素敵ですが、自分は一歩引いたところから周りの人を輝かせて見守る、月のような輝き方もアリだと思います。若いときは根っからの黒子体質で特別な才能もない自分に自信がありませんでしたが、年を重ねるごとに人を輝かせるのも能力のうちかもしれない、と自分を認めることができるようになりました。毎日の家事や子育てをがんばっていたり、会社を裏方として支えている女性は、人を輝かせる月Woman。常に新しい知識を吸収して自分をバージョンアップさせることを忘れず、時代に合った月Womanとして太陽とともに輝いていきましょう!
社会保険労務士法人ワイズコンサルタンツ/株式会社ワイズコンサルタンツ