ほぐされる・癒される 疲れた心にこの1冊~~大人女子こそ絵本を読もう

ほぐされる・癒される 疲れた心にこの1冊

~大人女子こそ絵本を読もう~

絵本は子どもの読み物?いえいえ!深いテーマ、ささる一言、短い時間で読めちゃうのも良い!このコーナーでは、絵本専門士ふじむらゆきこが“大人に効く絵本”を紹介します。

ふじむらゆきこさんについて・・・Special Skill Womanページでご紹介しています

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~2020年9月~
今月の1冊

『Michi』

junaida 作 / 福音館書店 /2018年

 

遅い梅雨明けに続いての猛暑、

それでも9月に入り

夏の終わりが見えてきました。

 

日暮れが劇的に早くなり、

夕風がせつなさを誘うと‥

物思いにふけりたくなるのが

人間というもの。

 

そんな時間のお供に

おススメしたいのが

この、文字のない絵本です。

一本の道を歩みだす主人公。

ページをめくる度に現れる

美しく彩られた不思議の町。

『Michi』は

道であり、未知なのです。

 

建物や住人が丁寧に描かれて

文字はないのに

「物語」が溢れています。

グラフィックではなく

手描きの水彩画って

線も色も柔らかいんですね。

疲れ目にも優しいのです。

 

この本、

前からも後ろからも

読むことができて、

真ん中がゴールという仕掛け。

 

順番に読んだり、

前と後ろ交互にめくったり、

主人公に自分を重ねたり、

町の様子から

昔の出来事を思い出したり。

 

物語を作るのは読者自身、

自由に楽しんでほしいという

太っ腹な作者に感謝しながら

今宵も一本道や回り道を

楽しみましょうか。


~2020年8月~
今月の1冊

『セミ』

ショーン・タン 作 / 岸本佐知子 訳

河出書房新社 / 2019年

 

 

ちょっとだけ季節感を意識しましたが、

見ての通り、主人公はサラリーマンの「セミ」

違和感ありまくりですよね!?

 

このセミ、

まじめで実直で仕事にミスはありません。

が、同僚や上司からは蔑まれています。

「セミ」が「ヒト」ではないから・・

 

どこまでもグレーで無機質な色彩と

感情が読み取れないセミの描き方、

表情を見せないヒトの描き方は

暗澹としていてどうにも居心地が悪い。

 

そのセミが定年を迎えるところから

何やら様相が変わってきます。

文字のない絵だけのページで展開していく

定年サラリーマンゼミの変化とは・・?

 

あなたがヒトなら

きっと衝撃を受ける皮肉なラストは

解釈がわかれるところ。

私は、最初に読んだときは

後味の悪さでいっぱいでしたが、

なぜか気になってしまい、何度か読むうちに、

爽快感に変わっていきました。

 

セミはセミの場所で輝ける。

 

今あなたのいる場所が辛くても

誠実に向かい合って。

でも、タイミングが来たら

恐れずに飛び出していい。

本当の居場所に飛び立っていい。

 

そんな気持ちになるのです。

 

この本を読んだ方と

グラス片手に語り合い、希望です(笑)


~2020年7月~

今月の1冊

『ジェーンとキツネとわたし』

ファニー・ブリット 作 / イザベル・アルスノー 絵

河野万里子 訳 / 西村書店 /  2015年

 

この本、「グラフィックノベル」と呼ばれるジャンルなのだそうです。

一般的な絵本の3倍近いページ数で、コマ割りやセリフの吹き出しもある。

コミックエッセイに近い感覚かもしれません。

それに見合って内容も濃い。

舞台はカナダ。いじめられて一人ぼっちの少女エレーヌが主人公です。

エレーヌを取り巻く世界はモノクローム。

落書きやひそひそ笑い、

女の子たちの残酷な表情、

そんな世界にふたをするように、エレーヌは本を開きます。

大好きな小説『ジェーン・エア』を読んでいるときだけは世界に彩りが現れるのです。

このあたり、場面ごとに色彩を変えて心情を表現しているんですよ!

モノクロの日常に訪れた転機が、夏休み前のクラス合宿。

ここでもエレーヌは『ジェーン・エア』を友に孤独をやり過ごしていくのですが、

いじめは止まず、エレーヌの限界が近づいていくのです・・・

 

誰とも話さない少女の心の中に、実はあふれている言葉や感情がしっかり書かれ、

気持ちが変わると目に映る世界の表情も変わるということを色彩で表現している、

さらには『ジェーン・エア』の物語も進行し、私たちはエレーヌとジェーンの二人ともが、恐れずに他者に心を開いて希望をつかむ姿を見ることになります。

短編映画を見たように読み応えのある1冊。

かつて少女だったあなたへ、贈りたい絵本です。


~2020年6月~

今月の1冊

『こびん』

松田奈那子 作 / 風濤社 / 2016年

 

 

新型コロナウィルスのパンデミック。

この広がりの速さはグローバル化の副産物と言えるのだそうです。

さらに、この状況でオンライン化が進み「ネットで世界とつながる」ことが常識に。

5Gという通信システムがいよいよ一般化すると、外部とのつながりを更にリアルでスムーズに共有・体感できるのだとか。

現代人にとって世界は手のひらの中のもの?

 

そんなSFチックな世の中に、

ちゃぷんと波紋をたてる、こびんです。

 

想像してみてください。

広く大きな海を。

波間を漂うメッセージ入りの小さなガラス瓶を。

いつ、どこでどんな人に届くのか、

わくわくしながらメッセージを海に放つ瞬間を。

 

この絵本は、メッセージを預かったこびんが

世界を旅するものがたり。

ページをめくって、

様々な海の表情やそれぞれの土地の気候風土を、優しく美しい色彩で楽しんでください。

効率第一、簡単便利を求める生活にはない

ゆったりした味わいが、そこにはあります。

 

17場面、33ページ、

5分もかからずに読み終わる話の中に

地球の大きさや世界の多様性、

さらには10年以上の時間が詰まっているんだから、

人間の想像力は5G並み、

いえ、それ以上ですよね。

 

なが~い旅のラストは読んでのお楽しみ。

「これって、そういうことだよね?」

という小さな疑問の答えは

「見返し」と呼ばれる表紙裏に描かれているんですよ。

本という形だからこそできる楽しいしかけも絵本の魅力です。


~2020年5月~

絵本は子どもの読み物?

いえいえ。

深いテーマ、ささる一言、癒される絵。短い時間で読めちゃうのも良い!

このコーナーでは、絵本専門士ふじむらゆきこが“大人に効く絵本”を紹介します。

今月の1冊

『それしかないわけないでしょう』

ヨシタケシンスケ 作 / 白泉社 / 2018年

 

流行に振り回されず、自分の定番を見つけることは、大人の証の一つです。

でもそれは、自身の思考が固くなってしまうことと紙一重。

こういう時はこうなんだ。この場合はこうするもの。

そんなカチコチの物差しを他人にも押し付けてしまったりして・・・。

 

そんな時は、哲学絵本ともいわれるヨシタケさんの本を開いてみてください!

大人のいうことはすべて正しいのか?必ずそうなるのか?

おばあちゃんの一言がきっかけになり、

「それしかないわけないじゃない!」と

様々な未来を思い描く女の子と一緒に、それ以外の方法を考えていきましょう。

 

シンプルな線で描き込みすぎなイラストは読み手の想像を邪魔しないので、

読みながら「自分自身のもしもの世界」を積み重ねていくうちに

頭が柔らかく、心の枷が取り払われて、なんともいい気持に♪

この楽しい発想が、働く世代ではなく「子供とシニア」の組み合わせによって生まれているところも考えさせられます。

 

ステイホームが続く日本。

この局面を乗り切り、その後の未来が前よりも良い方向に進むように、

しなやかさ、柔らかさを持ちたいものですね!


~2020年4月~

今月の1冊
『あさになったのでまどをあけますよ』
荒井  良二  作

偕成社  2012年出版

未知のウイルスの影響で、世界中が不安を抱えて 過ごす毎日。
それでも地球は回っていて、必ず朝がやってきます。

この本は、その新しい一日をまっさらな気持ちで迎えるための魔法の絵本。

本を開くと、見開きいっぱいに描かれる朝の風景

さわやかな青色・優しい緑色・朝日の茜色や黄色が心に染みわたります。

そこに添えられているのは、この町が好き、この風景が好き、という短い言葉。

ページをめくり、次々に変わる景色と繰り返される言葉を楽しむうちに、心が軽くなっていきますよ!

当たり前の一日を特別な一日にするために。朝になったら窓を開けて、

「やっぱり〇〇が好き」

と、声に出してみませんか?

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